Lesson9-1 ジビエを取り巻く環境の変化

前回の章では、代表的なものから小技の効いたメニューまで、
お肉の代表料理の作り方やポイントを解説しました。

今回のLesson9では、これまでのLessonでも軽く触れてきた
ジビエについてさらに詳細を解説していきたいと思います。

ジビエとはなんなのか?

一体、「ジビエ」とはなんなのでしょうか。

「ジビエ」はフランス語で「gibier(食材となる野生鳥獣肉)」の意味を持っています。

長い歴史の中で動物が家畜化する前までは、野生の動物を狩猟して食すことがメジャーでしたが、
家畜化してからはこれがむしろ、珍しい食肉として扱われるようになりました。

国内のジビエの流通に関しては、保健所が「野生鳥獣解体処理施設」と定めた施設
解体を行ったものが法律上「ジビエ」として認められ、それ以外は「違法ジビエ」です。

流通に関するラベル表示については総務省が策定しています。

現在、ジビエを取り巻く環境として、
野生動物の被害の現状やハンターの現状は少し厳しい現実が待ち受けています。

私たちがなぜジビエを活用しなければならないのか、
その背景となる現状の被害を理解する事が大切です。

野生動物による農作物への被害

野生動物による農作物の被害は、私たちが想像しているよりも大きいと言われています。

例えば鹿と猪による農作物の被害額はそれぞれ「50億円」を超えており、
生態系への影響も危ぶまれています。

特に鹿や猪は環境によって主食を変えるため
生命力が強い事が被害額の大きい主な要因となっています。

全体での被害額は170億円を超えるともされており、このような状況下では
農家のモチベーションが上がらないのも理解できるでしょう。

平成28年には、農地における被害面積は
およそ7,000ヘクタールとも言われています。

ジビエの食肉活動を推進していくべき理由は大きいのです。

野生動物を狩猟する「ハンター」も減少

皆さんの身の回りで「ハンター」という職業についている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?

地域にもよりますが、恐らくほとんど見かける事がない職業なのではないでしょうか。

実はハンターは高齢化が進んでおり、現在ハンターの年齢は63%が60歳以上、
またここ四十年間でハンターの数は32万人も減少しており現在は19万人ほどしかいません。

子どもが将来の夢に掲げることもマイナーになってきており、
ハンター不足も野生動物の被害が増加していることの大きな要因となっています。

他にも様々な要因がある「野生動物の増加」

野生動物の増加には、耕作放棄地が年々増えており過疎化が進むことで、
餌を効率的に獲得できる場所を人間が作り出してしまっているという要因もあります。

また、積雪量の低下などの環境要因や捕獲規制の緩和が遅れていることも、
積極的に個体数が増えている要因となっているのです。

このままでは、自動車との衝突事故や土砂の崩壊などの事故が起きてしまう可能性があります。

もちろん動物の生命をぞんざいに扱うことは望ましくないですが、
ジビエ肉を活用していくことがどれほど重要なことか理解できたでしょうか。

ジビエ肉を食肉として活用していくことで、これらの被害を減少させることができるはずです。


続いてのページでは、ジビエ肉の活用推進の3つの条件について確認していきましょう。